事業戦略とは

事業戦略の意味

事業戦略とは企業が保有している特定の事業内での戦略です。下図のように企業は経営理念や経営ビジョンの実現に向け、まず全社視点で全社戦略を立てます。一方、これにより各事業に投資する社内リソースや各事業に求める経営目標などが決定し、各事業部は事業部視点で目標達成や各業界で戦うための事業戦略を立てます。(全社戦略の詳細記事はコチラを参照)
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経営理念と経営ビジョンと全社戦略に対する事業戦略の意味

事業戦略を立てる手順

後に詳しく記載しますが、事業戦略を立てる大まかな流れとしては、①外部環境分析を行い業界内のKSF(主要成功要因)を特定する。②内部環境分析を行って自社の内部環境とKSFのギャップを明らかにする。③これらギャップを埋める戦略を経営理念や経営ビジョン、全社戦略にも適合しながら立案するといった手順です。
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事業戦略を立てる手順の概略

①外部環境分析を行い業界内のKSFを特定する

そもそもKSFはKey Success Factorsの略で、直訳では主要成功要因という意味です。ある業界で事業を成功させる要因をKSFと言います。事業戦略を考える上で、まず自分が戦う業界では何が成功要因なのかを考える必要があるということです。そして、このKSFを特定するためには、業界の状況を知ること、つまり、外部環境分析を行う必要があります。これは先ほどの図のように、企業が直接コントロールすることがでない‟マクロ環境”と市場(顧客)や競合など、企業と直接的に影響し合う‟ミクロ環境”があり、これらを分析して業界のKSFを特定します。

◎5F(ファイブフォース)分析

5F分析はマクロ環境とミクロ環境を包含した①業界内の競合②新規参入者③代替品④売り手⑤買い手の5つの視点から業界の魅力度や脅威を分析する手法です。(5F(ファイブフォース)分析の詳細記事はコチラを参照)
例えば、鉄鋼業界のKSFを特定するために、5F分析を行うと以下のようになります。
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事業戦略における鉄鋼業界5F分析の結果.
上図から分かるように、鉄鋼業界は買い手が強いので値下げ交渉などされ易く、売上が伸びない。また、売り手も強いので原料の購入価格が高くなりコストが高くなって、利益が出にくい業界です。

※補足:5F分析の横ラインは利益構造を表します。利益=売上(買い手)―コスト(売り手)なので、鉄鋼業界は売上(減)―コスト(増)→利益(減)の構造になっており、利益が出にくいのです。

また、競争面では新規参入や代替品の脅威は弱いので、業界内の競合とのシェア争いが重要になります。本来であれば、顧客分析などまだまだ詳しく分析してKSFを特定する必要がありますが、今回は簡易的に分析を終わらせると、鉄鋼は素材という性質上、商品が似通ってくるので、顧客は低価格を実現できるメーカーと取引を好むことが考えられます。しかし、5F分析で明らかになったように鉄鋼業界はただでさえ利益が出にくい構造で、購入先(売り手)の交渉力が強く、材料を安く仕入れることが困難なので、自社内で徹底的に低コスト化を行う必要があります。また、例え品質の高い高価な商品のみにフォーカスしたとしても、鉄工所など工場が大規模なので、やはり数が多く売れる低価格帯の商品でシェアを取らなければ工場を稼働させることができません。これらのことより、自社内で低コスト化を徹底的に行い、低価格帯の商品でもシェアを取ることが鉄鋼業界のKSFだと考えられます。(KSFの詳細記事はコチラを参照)

②内部環境分析を行ってKSFとのギャップを明らかにする

続いて内部環境分析を行って自社の状況とKSFのギャップを明らかにする必要があります。内部分析の代表的なフレームワークとしてはバリューチェーン分析があります。バリューチェーンは価値連鎖と直訳し、企業は単独の活動や別々の独立した活動によって付加価値を生み出しているのではなく、例えば製造業では、購買物流→製造→出荷物流→販売のように各ステップが繋がっており、それぞれのステップで生み出される付加価値が連鎖していくことによって全体の付加価値を生み出すという考え方です。(バリューチェーン分析の詳細記事はコチラを参照)

バリューチェーンの各ステップのコストを把握することで、どのステップでコスト削減を行えるか、コスト削減を行う必要があるのかを検討することができます。例えば、先ほどの例の続きで、自社が鉄鋼業を営んでいるとして、コスト構造をバリューチェーンでまとめると以下のようになります。(※値は完全に架空の値です)
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コスト構造をバリューチェーン分析する事業戦略における例.
鉄鋼業界のKSFは自社内で低コスト化を行うことなので、もし他社と比較して自社の製造のコストが高く、改善の余地もあるのであれば、自社とKSFのギャップは製造コストということになります。

③自社とKSFのギャップを埋める戦略を立案する

今の例であれば、経営理念や経営ビジョン、全社戦略にも適合しながら、製造コストを改善して内部コストを下げ、低価格帯の商品でもシェアを取る戦略を立てられれば最善の事業戦略ということになります。これ以上は長くなるので割愛しますが、本来であれば、戦略立案の代表的なフレームワークであるポーターの3つの基本戦略などを参考にして、コストリーダーシップ戦略を取るか、差別化戦略を取るか、集中戦略を取るかなど検討して戦略立案を行うこともできます。(ポーターの3つの基本戦略の詳細記事はコチラを参照)

あとがき

今回はいわゆる教科書通りの古典的なフレームワークを用いて事業戦略を立てる流れを記載しました。ここまで古臭くなる必要も無いですが、事業戦略を立てるオーソドックスな“流れ”を今回の記事で理解していただけたなら嬉しいです。
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