EQ型リーダーシップとは

EQ型リーダーシップの意味

EQリーダーシップとは心理学者のゴールマンによって提唱されたリーダーシップスタイルの一つです。リーダーに必要な能力は知能指数「IQ」ではなく感情知能指数「EQ(Emotional Intelligence quotient)」であるとした考え方です。

優秀なリーダーが持つ共通の能力「EQ」

一般的に優れたリーダーは高いIQを持っていると考えられていましたが、ゴールマンの研究ではそれが誤りであることが分かりました。高いIQを持ち、良い学業成績を残し、難関大学を卒業しても、社会に出た後に活躍出来るかどうかは関係がないことが分かったのです。逆に非エリートの人材が現場から出世して優秀なリーダーになることもあります。では、優秀なリーダーに共通の能力はあるのでしょうか。ゴールマンはその能力を以下の五つの能力から構成される感情知能指数「EQ」であるとしました。

自己認識:自分の感情を知る力
自己抑制:自分の感情をコントロールする力
動機付け:自分のモチベーションを高める力
共感性:他者の感情を認識する力
ソーシャルスキル:人間関係を上手く処理する力

ビジネスの世界において数字や論理のみが重要視され、感情は軽視される傾向がありました。しかし、感情を理解し、深い信頼関係を築いて共感を呼び起こすような高いEQを持ったリーダーが高い生産性を持っていることが分かったのです。また、知的能力であるIQは先天的な能力であるとされる一方でEQはトレーニング次第で向上する可能性のある能力であるとしたことも重要な点です。

六つのリーダーシップスタイル

ゴールマンはリーダーシップのスタイルは六種類あり、それぞれ異なるEQの構成要素を基盤にしていると述べています。

ビジョン型:組織の進む大きな方向だけを示し、メンバーには能動的な姿勢を求める。変革期には重要
コーチ型:組織の目標だけでなく、メンバー個人の成長も考える。組織の長期的な成長に必要
関係重視型:良好な人間関係を維持することを重要視する。壊れた信頼関係を修復する際に必要
民主型:メンバーと対話し、共同で目標を決める。自分だけでは判断できない時にも有効
ペースセッター型:高い目標をメンバーに与える。メンバーのモチベーションや能力が高いときに有効
強制型:典型的な支配型のリーダー。緊急時以外は生産性に悪影響を与える

どのスタイルにも利点や欠点があるため、EQの高い優秀なリーダーはメンバーや環境に合わせてリーダーシップのスタイルを選択することができます。しかし、個人のEQによって使えるリーダーシップのスタイルは異なり、六つすべてのスタイルを使いこなすことが出来る人は稀なため、リーダーは自身が得意とするスタイルを認識する必要があるのです。

あとがき

例えば、IQが高いと言っても記憶や論理推理など、様々な要素があり、同じIQが高い人でも得意とすることが異なります。EQもそれと同じで、自己認識や自己抑制などの要素があり、保有するEQにより得意なリーダーシップのスタイルも異なるのです。
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