リーダーシップ幻想論とは

リーダーシップ幻想論の意味

リーダーシップ幻想論(Romance of Leadership)とはマインドル(Meindl)らによって提唱されたリーダーシップ理論の一つで、人はリーダーシップと成果を過剰に結びつける傾向があることを示した理論です。マインドルはビジネス誌に掲載されたリーダーシップに関する記事の掲載数と発表された論文の数を経済状況と比較した検証を行い、以下のことを明らかにしました。

・ある企業のリーダーシップが掲載される割合はその企業の売上高と相関関係がある
・高い業績を上げている業種のリーダーシップの方が掲載されやすい
・国民総生産が好調時と不調時にリーダーシップ記事の掲載が増える

つまり、人は業績が良い企業のリーダーシップに関心を持ち、リーダーシップへの関心は経済状況に左右されることが分かりました。更にビジネスに関する架空のストーリーを読んでもらい、業績へ影響を与えた要因について質問するアンケートを行いました。この際、ストーリーには業績の情報だけを最高から最低まで変更した複数のパターンが用意されました。結果、業績が最高と最低のパターンの時にリーダーシップが業績に影響を与えたと答える傾向があり、中程度の業績の時にはメンバーや外部環境などその他の要因が重視されました。このことから、人は大きな成功や大きな失敗をリーダーの責任にする傾向があることが分かりました。このようにリーダーの行動に関係なく、最終的な結果の要因をリーダーに帰属させる傾向があることをマインドルはリーダーシップの幻想と呼びました。

あとがき

いつの時代もリーダーには結果が求められます。リーダーは大きな目標を課せられ、達成すれば称賛されますが、未達に終れば責任を問われます。しかし、現実的にリーダーの仕事やリーダーシップは結果に対してどれほど影響を与えるのでしょうか。企業活動における結果にはさまざまな影響が考えられます。メンバーの努力は目標達成に欠かせない要素ですし、景気や競合他社の動向など、結果に影響を与える要素は無数にあります。ところが、失敗や成功の原因を複合的な理由による結果として捉えず、「リーダーが優秀だったから」「リーダーが無能だったから」と結果をシンプルに解釈することを人は好むのです。リーダーシップ幻想論はそういった短絡的な考え方に対する警告とも言えます。これまで、このサイトでは色々なリーダーシップを紹介してきましたが、このリーダーシップ幻想論も頭の片隅に置いてリーダーシップ論を学ぶと良いでしょう。
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