ブランドエクイティ4つの要素(アッカーモデル)とは

ブランドエクイティ(Brand Equity)とは

Equityは直訳で「資産」という意味で、ブランドエクイティとはブランドを会社の資産とする考え方です。カリフォルニア大学経営大学院の名誉教授で電通の顧問も務めたデービッド・アーカーが1990年代に提唱しました。1990年代以前、ブランド構築は短期的な売上を伸ばす手段に過ぎず、名前やロゴも単なる記号程度に考えられていました。しかし、ブランドは商品やサービスの価値を増大させ、継続的な価値を生み出す資産だと考えられるようになり、アーカーの提唱したブランドエクイティの考え方が広まりました。アーカーはブランドエクイティを形作る要素には4つの構成要素(①ブランド認知、②知覚品質、③ブランド・ロイヤルティ、④ブランド連想)があるとしています。

①ブランド認知

ブランド認知とは、「どのくらいブランドが認識されているか」です。近年では単にブランド名を知っているかの「認知」ではなく、顧客にとってどんな関りがあるのか、どんなカテゴリーの商品やサービスなのか理解されているかの「認識」の意味で使われることが多いです。例えば、ユニクロと聞いてブランド名だけでなく、アパレルブランドであること、服や下着が買える場所などとイメージする人が多いと思います。このように一般的にはブランドの認識率が高いほどブランドとしての資産価値は高くなります。とは言え、アーカーがブランドエクイティを提唱した時は単に「認知」の意味で使われておりました。ブランド認知は以下のような調査で調べることができます。

ブランド助成想起率

あるブランド名を手がかりとして提示した時、そのブランドを認知していると答えた人の割合のことです。例えば、「パナソニックという家電ブランドを知っていますか?」という形でアンケートし、知っていると答えた人の割合が助成想起率です。または、「次のうち知っている家電ブランドを全て教えてください。(1)パナソニック、(2)SONY、(3)三菱電機、・・・・・」のような形式のアンケートでもブランド助成想起率を調べることができます。

ブランド純粋想起率

商品カテゴリーを提示した時、あるブランドを想起して答えた人の割合のことです。例えば、パナソニックの純粋想起率を調査する際、「家電ブランドで思い起こすブランド名を全て教えてください。」という形でアンケートし、パナソニックと答えた人の割合が純粋想起率です。

②知覚品質

知覚品質とは、「ブランドからその商品やサービスの品質をどんな風にイメージされているか」です。単に機能や性能だけでなく、安心感や雰囲気なども含みます。近年はモノやサービスが世の中にあふれており、スペックや値段も均一化しているので、顧客はブランドに対する品質のイメージでモノやサービスを購入することが多くなりました。例えば、スマートフォンを購入する際、各ブランドのスペック比較を行うのではなく、iPhoneの洗礼されたイメージで購入する人が多いと思います。このように知覚品質を高めるほどブランドとしての資産価値は高くなります。

③ブランド・ロイヤルティ

ブランド・ロイヤルティとは、「顧客のブランドに対する忠誠度が高いかどうか」です。ロイヤルティ(Loyalty)は直訳で「忠誠」という意味です。例えば、シャンプーを切らした際、他社と比較することなく、いつも使用しているシャンプーに高い信頼を寄せていて、購入してくれる顧客はブランド・ロイヤルティが高い顧客と言えます。また、こうした顧客が多いブランドこそがブランドロイヤリティの高いブランドです。近年は他社製品や代替手段があふれており、新規顧客を獲得することが難しいので、新規顧客の獲得よりも既存ユーザーとの関係性を向上させて、繰り返し購入してもらうことに重点を置いたマーケティング手法が重視されています。ブランドロイヤリティを高めるほどブランドとしての資産価値は高くなります。

④ブランド連想

ブランド連想とは、「顧客がブランド名を聞いたときに連想できるもの全て」です。②知覚品質が主に品質に対するイメージであることに対し、ブランド連想はブランドへの親しみやすさ、好き、嫌い、安全など連想できる全てを指します。企業は強く個性的なブランド連想を築くことによって、他社と差別化することができます。

あとがき

2012年にアサヒグループホールディングスが味の素から約1,000億円で「カルピス」の全株式を買い取るなど、ブランドの獲得を目的としたM&A(企業の合併買収)も行われるようになってきました。このように近年ではブランドは確実に企業の資産として扱われ、ブランドエクイティの考え方は今後更に重要になります。
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