STPの意味
STPとは商品やサービスの導入を検討する際に「誰にどんな商品価値を訴求してモノを売れば喜んで購入してもらえるのか」を思考するためのフレームワークです。STPでは商品やサービスの導入を検討する際には、まず市場をグループ分けするセグメンテーションを行い、グループ分けした中から、魅力的な市場で自社の強みが活かされそうなセグメントを決めるターゲティングを行って、ターゲティングした市場で自社は他社に対してどのような立ち位置で攻めるか明確にするポジショニングを行います。
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これらSegmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)のそれぞれの頭文字を取ってSTPと呼んでいます。
セグメンテーション
市場をグループ分けすることをセグメンテーション、分かれたグループのことをセグメントと言います。
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現在、市場には様々なニーズがあり、成熟している市場では本質的なニーズは既に満たされています。例えばペンは昔、文字がただ書ければ良かったのですが、今は軽さや長持ちするもの、多くの色が出せるものなど、そのニーズは細分化しています。そして、一つの商品でそれら全てのニーズに応えることはできないため、企業はそれらのニーズを持つ顧客を幾つかのグループに分け(セグメンテーション)、特定のグループ(セグメント)に集中してビジネスを展開する必要があるのです。また、実際にセグメンテーションを行うには4Rというフレームワークを考慮するのが有効とされています。
Realistic(有効な規模):そのセグメントに十分な規模があり、収益が見込めるか
Reach(到達可能性):そのセグメントにコミュニケーシが取れるか、商品が届けられるか
Response(測定可能性):そのセグメントの反応を確認できるか
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(セグメンテーションの詳細はセグメンテーションとはを参考)
ターゲティング
セグメンテーションを行った後、どの顧客セグメントを狙うか決定することをターゲティングと言います。
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実際にターゲティングを行う際には、市場は魅力的なのか?自社の強みは活かされるのか?などを考慮する必要があります。これらを効率よく検討するために6Rというフレームワークがあります。
Rate of Growth(成長性):そのセグメントに成長の可能性はあるか
Rank/Ripple Effect(顧客の優先順位/波及効果):自社の強みとなる部分が優先的に受け入れられるか。また、周囲に対して影響力が強いセグメントなのか。(例えば、SNSなどで他のセグメントに宣伝などしてくれるのか)
Rival(競合状況):どのくらい競合が脅威となるか
Reach(到達可能性):そのセグメントにコミュニケーシが取れるか、商品が届けられるか
Response(反応の測定可能性):そのセグメントの反応を確認できるか
(ターゲティングの詳細はターゲティングとはを参考)
ポジショニング
ターゲット市場が決定した後、その市場で自社は他社に対してどのような立ち位置で攻めるか明確にすることをポジショニングと言います。ポジショニングを検討する際は2つの特徴を2軸でマッピングしたポジショニングマップを作成するのが一般的です。なぜなら経験則で人が商品やサービスについて強く認識する特徴は2つまでと言われているので、3つ4つ特徴を訴求すると、特徴がぼやけてしまい、むしろ特徴が無いように顧客は感じてしまうからです。例えば、ひと昔前は車のサイズと車内の広さで以下のようなポジショニングマップを作ると、小型で車内が広い車は世に無い状況でした。そこで、このポジション向けに開発されたのがコンパクトカーです。当然、小さい車が良いけど車内は広く使いたいという要望を持つ顧客層に好評でコンパクトカーはヒットしました。(ポジショニングの詳細はポジショニングとはを参考)
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引用:マンガでやさしくわかるマーケティング(2014, 安田 貴志)
STPとマーケティングプロセス
これまでSTPについて記載してきましたが、実はSTPはマーケティングプロセスの一部に過ぎません。
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本来のマーケティングプロセスであれば、環境分析を行って市場機会を発見し、その後、STP分析を行って、決定したターゲットと自社のポジショニングに適した4P(製品/価格/プロモーション/流通)戦略を取るというような流れになります。この記事ではSTPの意味、STPはマーケティングプロセスの一部だということを理解いただければ十分です。(環境分析と市場機会の発見、4Pとはの記事についてはそれぞれクリック)
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