密度の経済性とは

密度の経済性の意味

コンビニなどの小売店において、店舗を高密度に配置すればするほど、商品の輸送コストが安くなり、店舗自体が広告になるため広告費も節約できます。これを密度の経済性と言います。
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密度の経済性の説明.
例えば上の図では、左よりも右の状態の方が密度の経済性が高いと言えます。右の状態では、一台のトラックで各店舗に物を輸送でき、同じ系列の店舗が近くに立ち並ぶので住民は店舗を広告代わりに認知し易くなります。

コンビニの密度の経済性

コンビニは正しくこの密度の経済性を活かすために高密度に店舗を出店する戦略を実行しており、これをドミナント戦略と言います。

ドミナント戦略

簡単に少しドミナント戦略を説明すると、ドミナント(dominant)は直訳で「支配的」という意味です。ドミナント戦略とは特定エリアに集中して出店する戦略で、メリットとして密度の経済性の恩恵を受けたり、その地域に根差したマーケティングを行うことができます。一方、特定エリアに経営資源が集中するため、災害などのリスク管理が難しいことなどがデメリットとしてあります。
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例えば、セブンイレブンは第一号店を東京都江東区に出店し、そこから規模を広げましたが、もともと酒販店であったことから酒仲間からセブンイレブンに参画したいと声があっても、一つ川を隔てただけの江戸川区では出店を許可しませんでした。その後も現在に至るまでドミナント戦略を継続し、ぎりぎりまで出店を渋った沖縄県には2019年にようやく14店舗を同時出店しました。

「規模の経済性」、「経験効果」、「範囲の経済性」、「ネットワークの経済性」の違い

密度の経済性と似ている言葉で「規模の経済性」、「経験効果」、「範囲の経済性」、「ネットワークの経済性」があります。それぞれごちゃごちゃに理解しないよう簡単に記載しておきます。

規模の経済性

規模の経済性は一定期間の生産量に着目し、製品を多く生産することで製品一つ当たりにかかる固定費を安くし、製品一つ当たりのコストを安く抑えることを指します。人件費や土地代などの固定費は生産量に関わらず一定なので、製品を10個作る場合も100個作る場合もかかる固定費は同じです。この場合、100個作った方が製品一つ当たりの負担する固定費が安くなるので、製品を多く生産することでコストを安く抑えることができます(詳細:規模の経済性)。

経験効果

経験効果は生産量ではなく累積生産量に着目し、累積生産量が多くなればなるほど、その製品一つ当たりのコストが安くなることを指します。何回も同じものを作れば慣れてスピードが上がり、失敗品も少なくなることは容易にイメージできると思います。このように経験によるコストダウンを指します(詳細:経験効果)。

範囲の経済性

範囲の経済性はある企業が複数の事業を運用する場合、別々の企業が独立してそれらの事業を運用するよりもコストが安くなることを指します。人材や設備、技術など、事業が違っても一部共有してコストが削減できます(詳細:範囲の経済性)。

ネットワークの経済性

ネットワークの経済性はYouTubeやメルカリなどのネットサービスにおいて、ユーザー数が増えれば増えるほど、ユーザーの利便性が増し、新規ユーザーを獲得するためのコストや、サービスを維持するためのコストが軽減することを指します。(詳細:ネットワークの経済性)。
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