マネジリアル・グリッド理論とは

マネジリアル・グリッド理論の意味

マネジリアル・グリッド理論は1964年テキサス大学教授のブレイクとムートンによって開発されたリーダーシップ行動理論の一つです。彼らはリーダーシップのタイプを「生産への関心」と「人への関心」から分類しました。
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生産への関心: 仕事の効率や生産量にどれだけ関心を持っているかを指標とする
人への関心:部下やチームのメンバーに対し、チームとのコミュニケーションや個人の目標などにどれだけの関心を持っているかを指標とする

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この二つの行動側面から下図のようなグリッドを作成すると、リーダーシップのタイプは五つの型に分類されます。
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マネジリアル・グリッド理論の説明.
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例えば、「生産への関心」が最も低い1であり、「人への関心」への関心も最も低い1のリーダーは(1,1)無関心型のリーダーであると言えます。

(1,1)無関心型

五つの分類のなかで最も問題のあるリーダーです。このタイプのリーダーは必要な仕事だけを終わらせ、チームメンバーとは最小限のコミュニケーションしかとりません。仕事へのモチベーションも希薄であり、ミスをしないことが最大の関心事になります。

(9,1)生産中心型

ルール、マニュアル、ポリシーを厳格に定め部下を支配的に管理するリーダーです。このタイプのリーダーはマクレガーのX理論に基づき、罰や報酬のみによって部下をコントロールしようとします。短期的には大きな成果が期待できますが、メンバーの士気の維持は難しく、いずれチームの崩壊を招く恐れがあります。

(5,5)バランス型

二つの軸に対してバランスよく対応したリーダーです。しかし妥協的なアプローチであるとも言えます。人と生産のどちらも満足できる水準に達することはなく、現状維持が最良の結果となります。

(1,9)カントリークラブ型

生産よりメンバーを優先するタイプのリーダーです。このタイプのリーダーは部下の希望に注意深く耳を傾け、最優先で対応することが作業効率の向上につながると考えています。フレンドリーな職場環境はストレスフリーで理想的とも思えますが、現実的にはあまり生産的ではありません。

(9,9)チームマネジメント型

ブレイクとムートンが理想的であるとしたのがこのタイプのリーダーです。このタイプのリーダーの重要なところは本質的にチーム全体のモチベーションが高いということです。生産性を上げるために、リーダーと部下、メンバー間でも信頼関係が生まれ、報酬や外部からの強制ではなく積極的に仕事に取り組む姿勢はY理論と一致しており、このタイプにおいてチームのパフォーマンスは最大化されます。

あとがき

マネジリアル・グリッド理論が発表された1960年代はミシガン研究、オハイオ研究、PM理論など、リーダーの行動パターンがどのようにリーダーシップに影響するかについて多くの研究がおこなわれた時代でした(行動理論を参照)。そのなかでもマネジリアル・グリッド理論は組織開発において頻繁に実践に用いられた理論です。1964年に初版されたThe Managerial Gridは改訂を重ね、現在ではリーダーシップ論および組織管理における名著とされています。
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