KSFとは

KSFの意味

KSFはKey Success Factorsの略で、直訳では主要成功要因という意味です。ある業界で事業を成功させる要因をKSFと言います。例えば、鉄鋼業などの素材メーカーは、素材の性能が似通ってくるので、顧客には価格をかなり重視されます。また、鉄工所など工場が大規模なので、少量の販売では工場を維持することも困難です。これらのことから、工場の稼働率を上げ、規模の経済性範囲の経済性を効かせて低コストを実現することが、鉄鋼業など素材メーカーのKSFであると言えます。工場の稼働率を上げる方法は、大量受注を得る他にも、他製品と共通ラインを増やすことや、他社に工場の一部を貸し出すなど、方法は様々ですが、KSFを満たす企業が業界で成功することができます。

KSFの特定方法

このように、KSFを満たすことがビジネスを成功させる上で重要なのですが、まずは、そもそも業界のKSFが何なのかを特定しなければなりません。そして、業界のKSFを特定するためにはまず、業界の状況を知ること、つまり、外部環境分析を行う必要があります。
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KSFを特定する手順.
外部環境は上図のように企業が直接コントロールすることがでない‟マクロ環境”と市場(顧客)や競合など企業と直接的に影響し合う‟ミクロ環境”があり、これらを分析して業界のKSFを特定するのです。

KSFを特定する実例

では、実際に国内の鉄鋼業界のKSFを特定してみます。まずは、外部環境を分析するため5F(ファイブフォース)分析を行いました。

5F(ファイブフォース)分析

5F分析はマクロ環境とミクロ環境を包含した①業界内の競合②新規参入者③代替品④売り手⑤買い手の5つの視点から業界の魅力度や脅威を分析する手法です。(参考:5F(ファイブフォース)分析とは)
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国内の鉄鋼業界の5F分析

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上図から分かるように、鉄鋼業界は買い手が強いので値下げ交渉などされ易く、売上が伸びない。また、売り手も強いので原料の購入価格が高くなりコストが高くなって、利益が出にくい業界です。

※補足:5F分析の横ラインは利益構造を表します。利益=売上(買い手)―コスト(売り手)なので、鉄鋼業界は売上(減)―コスト(増)→利益(減)の構造になっており、利益が出にくいのです。

また、競争面では新規参入や代替品の脅威は弱いので、業界内の競合とのシェア争いが重要になります。

KBFの特定

業界内の競争に勝つため、そもそも顧客(買い手)は何を決定打に商品を購入しているのか理解しておく必要があります。このように、顧客が多数の商品の中から最終的にある商品を購入する際、決め手となる要因をKBF(Key Buying Factors)と言い、今回のようにKSFを特定する上で必ず必要な考え方になります。(参考:KBFとは)

今回の場合、鉄鋼業界の主な顧客は車メーカーなので、車メーカーのKBFを考えます。ニーズとしては薄い、軽量、加工しやすいなど色々あると思いますが、現在、車メーカーが最も求められていることは低コスト化です。特に日産などは利益が厳しく、取引する鉄鋼メーカーを絞り込むため、コンペを行い、鉄鋼メーカー同士で価格を競わせたりしています(国内の大手鉄鋼メーカーはどこも技術レベルが高いので、特に価格がフォーカスされるという点もある)。よって、KBFは低価格ということになります。

まとめ

これまでのことを総括すると、鉄鋼業界は業界内の競争が激しく、顧客のKBFが低価格であるため、業界内の競争に勝つためには低価化が必要。しかし、鉄鋼業界はただでさえ利益が出にくい構造で、購入先(売り手)の交渉力が強く、材料を安く仕入れることが困難なので、自社内で低コスト化を行う必要があります。そして、鉄鋼メーカーは大規模な工場を持つため、‟工場の稼働率を上げ、規模の経済性範囲の経済性を効かせて内部コストを安く抑えること”がKSFであると言えます。

あとがき

例えば、国内の鉄鋼業界大手の日本製鉄は2012年に新日本製鉄と住友金属工業が合併してできた会社です(当時の社名は新日鉄住金)。これはKSFを満たすために生産工程などを一本化して設備投資や作業員の人件費を合理化し、内部コストを抑える取り組みだと分かります。また、日本製鉄は鉄鋼以外にも化学事業や建設事業を行い、事業を多角化することで、共通コストを抑える取り組みも行っています。これらにより、①大量に作る(鉄鋼以外も含む)→②コスト安くなる→③大量に売れる→①大量に作る→・・・のサイクルを上手くまわして鉄鋼業界で成功している企業だと分かります。
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