サーバント・リーダーシップとは

サーバント・リーダーシップの意味

サーバント・リーダーシップとは1970年にアメリカのリーダーシップ研究者グリーンリーフ(Greenleaf)によって提唱されたリーダシップスタイルです。「リーダーはまず相手に奉仕し、その相手を導くもの」という考えに基づいたリーダーシップであり、従来の一般的なリーダーシップとは対極にある考え方です。

サーバント・リーダーと支配型リーダーの違い

サーバント・リーダーシップはリーダーのあるべき姿を説いた哲学のようなものなので、定義だけをみると抽象的で捉えどころのない概念です。そこで、分かり易く理解するために、一般的なリーダーの姿を「支配型リーダー」と呼び、「サーバント・リーダー」と比較してみます。まず、支配型リーダーは権力を背景にして部下をコントロールし、目標を達成します。あくまで主体はリーダー自身であり、部下はリーダーの手足となって仕事することが求められます。その結果、部下は何も考えず指示内容に従い、顧客ではなく上司を重視し、指示を待ち、受動的に仕事に取り組むようになります。対してサーバント・リーダーはまず初めに部下に奉仕することを考えます。成果を出す主体は部下であるため、上司は部下の考えを聞き、必要なサポートを行い、仕事の障害を取り除きます。結果として部下は自分で考えて行動し、顧客と向き合い、能動的に仕事に取り組むようになります。ここまで上手く機能するかは別にして、サーバント・リーダーは一般的なリーダー像と大きく異なるということが分かります。

サーバント・リーダーの特性

サーバント・リーダーシップはこれまでになかった考え方としてリーダーシップの専門家達の研究対象になりました。研究者の一人であったスピアーズはサーバント・リーダーは以下の10個の特徴を持つと述べています。

傾聴・共感・癒し・気づき・説得・概念化・先見力・執事役・人々の成長に関わる・コミュニティづくり

この中でも特に重要とされたのが「傾聴」です。つまり、リーダーは部下の話を良く聞く必要があります。場合によっては部下の話は予想が付く話やどうでもいい内容かもしれません。しかし、それでもしっかりと部下の話に耳を傾けることが重要なのです。部下は自分の話を聞いてくれていると認識すると、満足感を感じ、リーダーへの信頼感が生まれます。この信頼感はサーバント・リーダーシップが効果を発揮するための力の源になります。

あとがき

サーバント・リーダーシップは近年になって大企業の経営に取り入れられるなど、ますます注目を集めています。上に立つ人ほど謙虚に奉仕するべきであるという考え方は日本人の国民性と相性が良いのかもしれませんね。
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