アルダファーのERG理論の意味
アルダファー(Alderfer)のERG理論とはどのようにして人間のモチベーションが高まるのかを研究した動機づけ理論の一つです。マズローの欲求5段階説を修正、発展させた理論であり、人間のモチベーションの源である欲求を「存在欲求(Existence)」「関係欲求(Relatedness)」「成長欲求(Growth)」の三つの欲求に分類しました。これらの頭文字を取ってERG理論と呼ばれています。
関係欲求:対人関係への欲求。職場でいえば社内や顧客との良好な人間関係を築くことへの欲求。他者からの尊敬、高い社会的地位への欲求も含まれる
成長欲求:個人的な成長への欲求。職場でいえば出来る仕事を増やし、能力を発揮し、高い目標を達成することへの欲求
マズローの欲求5段階説との比較
マズローは人間の欲求を5段階に分類しました。ERG理論はその理論を土台にして発展した理論で、階層には下図のような対応関係があります。
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アルダファーは人間の欲求を三つに分類し直したのちに、マズローの理論の欠点を修正しながら理論を展開しています。
欲求の順序は人によって異なる
マズローは「人間は下位の欲求が満たされた時、一つ上の欲求を満たそうとする」と主張しました。しかし、これには疑問点がありました。例えば、生理的欲求の一つである睡眠欲について考えてみます。ほとんどの人が睡眠不足の中、学校や仕事に行った経験はあるでしょう。これは低次元の欲求である睡眠欲が十分満たされていないはずの状態で、より高次元の欲求を満たすためにとった行動と言えます。そこで、ERG理論では基本的には下位の欲求から順番に満たそうとするが、人によって欲求の順序は異なることがあり、同時に欲求を持つこともあるとしました。
上位の欲求不満を下位の欲求で満たす
マズローの欲求5段階説にはなかった考え方として「上位の欲求が満たされないとき、下位の欲求が高まる」とアルダファーは主張しました。例えば、毎日目標もなく同じような仕事をしていて、成長欲求が満たされなかった従業員がいたとします。すると、その従業員は下位の関係欲求が高まり積極的に飲み会に行くなどの行動をとります。この従業員は成長欲求を下位の欲求で満たそうとするため、仕事へのモチベーションは低下することになるでしょう。(しかし、人間は休むことも重要なので悪いことでは無いです)
あとがき
ERG理論はマズローの理論を発展させることでより正確に人間の複雑な欲求を説明しています。マズローの理論に比べると知名度は劣りますが、経営の実践においてはERG理論の方が役立つ場面が多いです。
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